写真集のはなし

石上ひさ子写真集「ドリーム」
石上ひさ子・高橋生建

A4版;60ページ
出版社:ダックス/大陸書房
シリーズ名:ニューアイドル写真集1
発売日:1986/10/6
サイズ:29.6×21.3×0.7cm

乃木坂46白石麻衣氏の写真集『パスポート』(講談社)が
21度目の重版が決定し、累計発行部数が32万部を突破したらしい。
めでたい。心から賛辞を送りたい。
とはいえ、この場で語りたいのは1980年代から1990年代の写真集についてである。
もしよろしければ、お付き合いくださいませ。

第一回は、石上ひさ子写真集「ドリーム」。

石上ひさ子氏については、よくわからない。
写真集の中には略歴はない。
検索してみると、同時期に「石上久子」というAV女優がいたようではある。
ただ、同一人物かどうかはわからない。
まあそんなに有名な人だったとは思えない。

1980年代中期、写真集市場が拡大する中、
大陸書房もおこぼれにあずかるべく、
写真集のシリーズを立ち上げようとしていたのだろうと思う。
ただまあ、講談社小学館ワニブックスなどの
大手ほど予算があるはずもなく、
私が好きではない「二泊三日系」での条件撮影であったし、
埋もれる写真集になるはずであった。

この写真集に不可思議な魅力があるのは、
写真家・高橋生建氏の力によるところが大きい。
ゆるく言えば、優れた女性写真集というのは、
読者が、デートに行った体で女性を眺め、
嬉しくなり、更に付き合えた気分を味わえている作品であろうかと思う。
もしヌード写真集であるならば、一夜を過ごした気分になれるとさらによい。
まあ、賢者タイムを迎えるまでであろうけど。

高橋生建氏はこの写真集において、
髪が画面から切れてしまう構図を多用する。
彼氏たる読者が、脱いでくれた眼前の彼女に対して、、
緊張して撮影時にフレームがずれているかのようだ。
面白い。
あと、縞パン
けいおん!」でどんぶりで示されたあれ。
この時期、ナイロン製のパンツがセクシーがだったのに。
よく採用したなあと思う。

検索の限り、高橋生建氏の、
これが事実上の単独のファースト写真集だと思う。
にしてはアイデアがあふれている。
こののち、女性を撮らせたら一流の写真家となり、
次々と傑作を発表していく。
また、大陸書房はニューアイドル写真集で
後に残すべき作品を発売する。
そんな起点の作品である。

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