写真集のはなし8

 

山本ゆか里写真集「カルバドスの日」
山本ゆか里・遠藤正

A4版;108ページ
出版社:集英社
シリーズ名:週刊プレイボーイ特別編集
発売日:1982/8/20
サイズ:28.4×20.7×0.8cm

ネット上で写真集について語るなどというのは、
隙間産業でしかない。
じゃあ、どんな評論が流行っているかと考えてみたが、
アニメは鉄板の一つといえよう(偏見かな)。

金田伊功氏について語るアニメのファンは多い。
彼の独特の作画スタイルは「金田パース」などという。
金田伊功氏は一作たりともアニメの監督をしていないにも関わらず、
Wikipediaの彼の項目は、
スクロールバーのノブが細くなるほど記載があり、
山田玲司氏のヤングサンデーにおいては、
漫画家の本業を活かし、
絵を起こした上で、嬉々としてトークを広げていたりする。
うらやましいですね。

女性写真家にも独特のタッチを持つ人はいる。
例えば、遠藤正氏だ。

少しピンボケ風味。
晴天なのに曇っている感じ。
深く腰掛けた女性が大股広げて佇む様子。
後ろ向きの女性がセミロングのスカートを捲り上げ、
お尻丸出しのポーズ。
そして、「藁」。

デイヴィッド・ハミルトンぽくないか、
と思った方、ある意味正解です。
しかし、あんなに過剰に紗をかけている感じではないのだ。
なんていうか、若干揺れている感じかな。

どうしてこうなったのか疑問だったのが、
竹書房から1992年に発売された「NUDE 25years of Works by Tadashi Endou」
のあとがきを読んで一部理解できた気がする。
右目を失明しているとのことが記載されている。
なるほど、とちょっとだけ思う。

女性を深く腰掛けさせるのも、
「藁」の上で女性のポーズを次々と変えさせるのも、
彼なりの立体感なのだと思う。

遠藤正氏の最も知名度の高い作品は、
島田陽子氏の「Kir royal」(1992)であろう。
ただし、この作品は代表作かといえばちょっと違う。
1990年代は、印刷技術が向上し、
彼の持ち味が薄れていっているように思う。

良ければ、1980年代の写真集を入手してください。
独特の「遠藤ポーズ」で語り合いましょう。
岡山で古本屋しています。