写真集のはなし2

以下、一部敬称略で表記しています。

小栗香織写真集
小栗香織西田幸樹

変型B5版;80ページ
出版社:スコラ
シリーズ名:FRESH SCHOLAR(黄) 3
発売日:1988/11/19
サイズ:25.8×21.3×0.8cm

ある日、この写真集が倉庫に眠っていることに気付き、
世の中が知らないのはもったいないと思い、
このブログを始めることした、という名作。

名作なのに知られなかったのには、
様々な不運の重なりがある。

小栗香織氏は今も現役であり、ブログがある。
そこのプロフィールによれば、
スカウトされてデビューされたらしい。
1988年という年を考えると、もったいなかった。
この頃はオーディション上がりでないと、
売れにくかったのだ。
例えば、ミスマガジン斉藤由貴南野陽子
例えば、ミスセブンティーンでは松田聖子国生さゆり
モモコクラブだと西村知美鈴木保奈美など。
アイドルが飽和状態にあった1980年代末期は
大手芸能事務所、大手出版社、テレビ局に縁がある人たちから、
ドラマにバラエティ番組に登用され売り出されていくシステムになっていた。
(この時期当時の10代20代男性が目を皿にして、
アイドルを探していなかったのは、続けばこのブログのテーマの一つ)

その大手芸能コングロマリットから外れてしまった小栗香織氏は、
売り出しの一つとしての写真集が、FRESH SCHOLAR(黄)になってしまう。
これが続く不運。
というか、FRESH SCHOLARというものが、わからない。
同時期に少なくとも2シリーズはある。
堀江しのぶ氏に始まるFRESH SCHOLAR。
杉本彩氏に始まるFRESH SCHOLAR。
スコラ社は何を考えていたのだろう。
とりあえず区別のために、
後者のシリーズをその背表紙から仮にFRESH SCHOLAR(黄)と呼んでみる。

前者の撮影には予算があったのは、遠藤由美子氏の写真集を見るとわかる。
その髪型のアレンジ、用意された衣装はアイドルを美しく見せる形がある。
後者の黄にはそこまでのものはなかった。
その中で、ちょっとした奇跡が起きる。

カメラマンが西田幸樹氏であったこと、
そして彼のほぼデビュー作だったことだ。
当然張り切っていたことだろう。
なおのち、西田幸樹氏は竹内結子堀北真希木村文乃などの秀作写真集を残す。

さて優れた女性写真集というのは、
「彼女とデートに出かけ、嬉しくてカメラを向けた風味」ではないか。。
少なくとも1980年代から1990年代の日本の写真集の特殊な良さはそこだと考えている。

表紙の木陰で照れている表情からからして、、
「二泊三日系」の限界を超えようとしているのがわかる。
一般の服は数えられる限り4着のみ。
その着回しと撮影場所の移動の多さは感動もの。
また、下着もコットンシャンタン系の白、
綿の黒などで日常感を醸しだすことに成功している。

どうにも言葉でうまく伝えきれない。
でも傑作。
この写真集が世に伝わることを念じている。

一見の価値はあります。
当店は、岡山にあります。
岡山にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。